「国籍を捨ててください」と選ばされる不条理さ、二重国籍の苦悩



このブログを読んでくださる方にはおなじみかもしれませんが、私なシンガポール出身の日本とのダブル(ハーフ)です。

日本人の父親とシンガポール人の母親を持ち、シンガポールの病院にて産まれました。

 

国によってルールが違うのですが、私のルーツである日本とシンガポール、この2つの国はどちらも「二重国籍を許していません」。

つまり、成人する頃くらい(国によって21歳や22歳など違う)までにどちらかの国籍を選び、どちらかの国籍を捨てろと迫られるのです。

 

二重国籍というと、最近では民主党の代表だった蓮舫さんの話題がありましたが、彼女が二重国籍のままだったかもしれないという疑惑は、同じ二重国籍保有者からすると正直仕方のないものだったと感じます。

 

まず、国籍を選ぶ手続きは大変ですし、慣習としてどちらかの国からも何も言われなかったらそのままにする人がとても多いのです。

「大人になったら選ばないといけない」という法令を守ることは大事ですが、2つの国の法律が衝突する場面も多く、二重国籍を放置したまま50歳、みたいな人がとても多いのが実情です。

 

そして何より選ばない理由として、「選べない」というものがあります。

例えば福岡で生まれ育った人が、就職や進学で東京に出たとして、「では福岡か東京、どちらかを捨ててください。捨てた方の地域には戻るたびにビザが必要だったり、超困ることいっぱいありますけどね!」と言われるような感覚に近いです。

 

今仕事をしている東京は、必要があっている場所だし、それなりに友人もできて愛着もある。何より、今東京に居続けるのが難しくなるのは、普通に金銭的にも困る。

生まれ育った福岡には帰省ぐらいでしか今じゃ戻らないけど、将来的に戻るかもしれないし、というか親もいるんだから介護とかもあるかもしれないし、さすがに戻れないようになるのは困る。

 

どうでしょう。正直こういう気持ちの人が、実はマジョリティなんじゃないでしょうか。

 

 

二重国籍保有者は、この選択を国レベルで迫られることになるのです。しかも、さらに深刻な度合いで迫られるわけです。

行政のサポートが受けられなくなるかもしれないリスクや、選挙権の剥奪、税金のごちゃごちゃに巻き込まれたり、将来的に生まれる子供に兵役があるとかないとか、もう考えることがたくさん。(国によりますけども)

 

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実際問題選ばされるとなると、国籍というものは非常に重みのあるものです。

ただ「選挙権がない」「年金が困る」とかではないレベルでの、故郷を捨てざるをえないような悲しみや喪失感と戦うことになります。憧れの国の国籍あげるよ、と言われたとしても、あなたは本当に即決で日本国籍を手放すことができるでしょうか?

 

手続きをして「はい、じゃあ国籍戻しまーす」といって、国籍は戻るものではありません。帰化することは手続きはもちろん、期間もかかるもので、大変難しいことです。

 

自分のルーツを、故郷を、郷愁を、ぎゅっと胸に抱きながら。

そのうえで苦渋の決断を迫られる残酷な儀式、これが二重国籍保有者の国籍選択です。

 

そこにあるのは、単なるメリットとデメリットを比較した上での選択ではありません。

日本国籍を選ぶとなれば、私はシンガポールにいる友人や家族、特に祖母の顔。そして地元の景色に胸が締め付けられます。
シンガポール国籍を選ぶとなれば、私は今東京で過ごしている便利さを失う恐怖や、不意な事態にこの国のサポートに見捨てられるかもしれない気持ちと戦うことになります。日本人でないことで受ける、ネガティブなこともあるでしょう。

 

それでも、私は国籍を選ばされます。

正直に書いてしまうと日本政府は若干そのへんが甘いのですが、シンガポール政府は大変厳しいため、私に国籍選択のリミットを設定してきました。

麻布十番にあるシンガポール大使館と、日本法務省を行き来しながら、私は長い間決断を迫られてきました。私がどちらを選んだかは、親しい友人に直接言っているだけにしており、インターネットにはいつか心が落ち着くことがあれば書き記そうと思います。

 

それぐらい、言いたくないのです。

「あっちの故郷を捨てたんだね」と双方に思われたくないし、本当に選べなかったから。どうして自分のルーツを捨てられるでしょうか、故郷に戻るたびにビザが必要になってしまうのでしょうか。

日本を選んでもシンガポールを選んでも、どちらも私の祖国であることに変わりはないのに。

 

たとえばアメリカやカナダは、二重国籍を許しています。日本ではこの議論はまだまだ進んで居ません。

 

今、日本国内の結婚のうち、なんと30組に1組は国際結婚なんだそうです

そんな時代だというのに不条理なままのこの制度に、私はただただ、胸が痛むばかりです。

 

 

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